思いつくままに (17)
 

 
◆関西交響楽団第九演奏会
 
 昭和26年2月、大阪の旧朝日会館で第九の演奏会が行われた。この日のもう一つのプログラムはブルックナーのTe Deum。指揮は朝比奈隆、関西交響楽団(現在の大フィル)の定期演奏会である。合唱はアサヒコーラスとアサヒスモールコーラス(学生コーラス)。このころ第九はまだ年末に演奏されると言う風習はなかった。わたしは当時高校3年生、義兄の紺の背広を借り、手作りの蝶ネクタイを付けて参加した。とてもうれしく、感動した。戦争が終わって5年半後のことである。
 
 
 
 朝日会館は、当時肥後橋にあった朝日新聞大阪本社ビルの6階にあって、大手前にあった毎日会館と並んで、大阪の文化の殿堂であった。藤原歌劇団のオペラ、小牧バレー団のバレー、俳優座や文学座の演劇公演などを観た。わたしの青春時代を培う上で欠かせない存在であった。その後、朝日新聞社建て替えにともない堂島川を挟んで北側に移転新築されたのが、現フェスティバルホールである。

(2016.7)  

 
 
                                             
 
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